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バイリンガルを育てる読書の力:日本語の読解が与える多言語発達への影響

July 20, 2025

読書を通して“バイリンガル”を育てる
 
  バイリンガルに育つということは、単に二つの言語を「話せる」ようになることではありません。言語の運用能力には、語彙や文法の知識だけでなく、情報を整理し、理解し、考えを構築する思考力が深く関わっています。とりわけ、母語である日本語での深い読解力や表現力は、バイリンガルの基礎として非常に重要です。

海外に住む子どもたちは“自然に”バイリンガルになるのか?

多くの保護者が抱くのは、「現地語も日本語も使っているから、自然とバイリンガルになるだろう」という期待です。しかし実際には、母語である日本語の語彙や文法が十分に育っていない状態で現地語の教育を受けることで、どちらの言語も“浅く広く”なってしまうケースが少なくありません。これを防ぐには、一つの言語で深く考える経験が欠かせません。

読書が育てる「思考と言語の橋渡し」

言語学においては、語彙の獲得や論理的表現の習得には「読む」経験が大きく関わることが知られています。特に、物語文や説明文を通して登場人物の心情を読み取ったり、因果関係を整理したりする読解は、思考の筋道をつける訓練そのものです。こうした日本語での読書経験は、英語や現地語といった他の言語における理解力にも好影響を与えると、多くの研究が示しています。

語彙の“質”がことばの発達を左右する

バイリンガル教育の現場では、子どもがどのような語彙をどれだけ蓄えているかが、その言語でどれだけ深く考えられるかを左右します。日常会話レベルの言葉(BICS)だけでなく、学校の学習に必要な認知的・学術的言語能力(CALP)を育てるには、意識的な語彙のインプットが不可欠です。そのためにも、日本語での読書は非常に有効です。

バイリンガル教育における日本語の役割

母語がしっかりしていれば、第二言語、第三言語への移行もスムーズになる。これは言語習得に関する基本原則の一つです。日本語の文章を読む中で、文の構造や論理展開に触れることは、他言語のリーディングにも通じる普遍的な思考力を育てます。言い換えれば、日本語での深い読書体験が、真のバイリンガルを育てる足場となるのです。

家庭と教室で支える「読む習慣」

海外に住む日本人家庭において、日本語での読書環境を整えるのは簡単ではありません。だからこそ、Sakura国語のワークショップでは、教室での読書指導と家庭での継続読書を組み合わせることで、お子さまの“読む力”を継続的に支えています。

読書から始める、本質的なバイリンガル教育

「読む→考える→伝える」このプロセスの根幹には、読解力があります。そして、それを育てるもっとも自然で効果的な手段が「読書」です。海外で育つからこそ、日本語という軸足をしっかりと持ち、多言語に展開していく子どもたちを支援すること。Sakura国語のワークショップは、本質的なバイリンガル教育の場として、子どもたちの未来に貢献していきます。  

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海外の子どもにとって「家庭外で話すこと」が大切な理由

2025.09.19

海外の子どもにとって「家庭外で話すこと」が大切な理由

海外で暮らすご家庭からよく耳にするのが、「家では日本語を話しているけれど、外ではほとんど使わない」というお悩みです。確かに、海外に住む子どもたちは 家庭内=日本語、家庭外=現地語や英語 という使い分けが自然と身についていきます。家庭での日本語は安心感のある言葉として定着しやすい一方で、家庭外で使う機会が少ないと「限られた語彙・表現」にとどまってしまうリスクがあります。 家族以外との会話で「言葉の幅」が広がる 家の中ではどうしても同じ言い回しや限られた語彙が中心になります。「ご飯食べた?」「宿題やった?」など、日常的なやり取りは大事ですが、子どもの言葉の世界を大きく広げるには不十分です。友だちや先生と話すことで、はじめて自分の言葉を組み立てる力が鍛えられます。 正式な場面で使う日本語を学ぶ 家庭外での日本語の経験は、単なる日常会話だけではなく、「発表する」「意見を述べる」「相手を説得する」といった フォーマルな日本語を学ぶきっかけにもなります。特にディベートやグループ活動では、正しい言葉遣いや論理的な話し方が自然と身につきます。これは将来の面接や小論文、探究学習にもつながる大切な力です。 自信と自己表現力につながる 家庭の外で自分の言葉を伝えられるようになると、子どもは大きな自信を得ます。「言いたいことが通じた!」という経験が積み重なることで、言葉を選ぶ楽しさや、考えを形にする力が伸びていきます。これは単なる言語スキルにとどまらず、自己表現力や主体性にも直結します。 日本語会話力を伸ばす具体的な例 家庭外で日本語を使う場をつくる方法は、実は身近にあります。例えば: ディベートや読書会:同世代とテーマを決めて話し合うことで、語彙や表現が一気に広がります。 オンラインの日本語コミュニティ:時差を越えて世界中の子どもとつながり、共通のテーマで日本語を使えます。 現地の日本人補習校や課外活動:発表会や文化イベントなど、人前で日本語を使う場が増えます。 趣味の活動(ピアノ、空手など)を日本語で:好きなことを日本語で話すと、言葉がぐっと自然になります。 こうした場を通じて「日本語を使うのが楽しい」と思える経験を積むことが、長く続ける秘訣です。 最後に 海外で暮らす子どもにとって、日本語は「家族との絆の言葉」であると同時に、「未来につながる学びの言葉」でもあります。家庭外で日本語を話す機会を持つことは、語彙を広げ、正しい表現を学び、自信を育むための大切なステップです。もし「日本語を話す場が足りないかも…」と感じたら、ディベートや補習校、日本語での習い事など、子どもが楽しく続けられる方法をぜひ取り入れてみてください。その一歩が、お子さまの言葉の世界を大きく広げてくれるはずです。

海外で国語力を育てるために親ができること

2025.08.28

海外で国語力を育てるために親ができること

海外で暮らす子どもたちは、日本語に触れる量が圧倒的に不足しています。 インターナショナルスクールや現地校では英語や現地語が中心となり、日本語は家庭内に限られてしまう。 結果として、語彙が伸びず、表現が貧弱になり、文章を理解する力が弱まっていく危険性があります。 この「読解力の欠如」は国語だけの問題ではありません。 数学や理科、社会でも「問題文の意味が理解できない」ために正しく答えられない。さらに言えば、将来の情報処理力や思考力そのものが損なわれるリスクに直結します。 補習校や学習塾でさえ、週に数時間ではこの不足を埋めることはできません。 そのまま放置すれば、母語としての日本語が十分に育たないまま思春期を迎え、取り返しのつかない差が生まれることも珍しくないのです。 では、親ができることは何でしょうか。 毎日の読書習慣をつくる:語彙・表現の幅を広げる最も基本で確実な方法です。 読んだ内容を語らせる:理解を深め、思考を言葉にする力を鍛えます。 質の高い日本語で会話する:「なぜ?」「どう思う?」と問いかける習慣が、思考力の芯を育てます。 家庭外の日本語環境を確保する:Sakura国語のワークショップや補習校など、家庭だけでは得られない刺激を加えることが不可欠です。 危機はすでに始まっています。 放っておけば日本語の基盤は確実に弱まり、その影響は全教科、そして将来の学びや社会生活にまで広がっていきます。 だからこそ、いま親が意識して環境を整えることが欠かせません。 Sakura国語のワークショップは、その努力を支える場として、子どもたちの「読む・考える・伝える力」を根本から鍛えていきます。