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本を読んでいるのに国語力が伸びない?― 読書=学力向上とは限らない理由 ―

July 1, 2025

本を読んでいるだけでは読書力にはつながらない。効果的な国語力の向上方法は。

「本好き=国語が得意」ではない現実

「うちの子は本が好きだから、日本語は大丈夫」
そんな声を保護者の方からよく伺います。確かに、読書は語彙力や表現力を高める上でとても有効です。
ですが、「読んでいる」=「理解できている」とは限りません。

実際、Sakura国語のワークショップが実施した読書指数診断®では、日常的に本を読んでいるにもかかわらず、読解力が伸び悩んでいるお子さまが一定数見られました。そこには、“読書の質”という重要な課題が潜んでいます。

「文字を追う読書」と「意味を読む読書」

読書指数診断®で読解力が伸びていないお子さまに共通していたのは、以下のような読み方です:

  • 登場人物の関係がわからない

  • 情景がイメージできていない

  • 主人公の気持ちを読み取れていない

つまり、「文字を目で追っているだけ」で、物語の意味や背景を理解する力が育っていないのです。
こうした“表面的な読書”では、語彙は増えても思考力や文脈理解力は鍛えられません。

マンガが育てる語彙力、でも…

マンガを多く読むお子さまには、会話表現や擬音語を含む語彙の豊富さが見られました。
語彙テストの結果も高い傾向があります。

しかしその一方で、文脈や構造を読み解く力が相対的に弱いという傾向も。
吹き出しや絵の助けを借りて理解できるマンガと違い、文字だけで構成された文章では苦手意識が出てしまうのです。

マンガ自体は良い読書体験ですが、それだけでは足りません。
「読解力を鍛える読書」が、バランスの取れた言語力育成には不可欠です。

読書の目的は「語彙量」ではなく「理解力」

子どもが本を読んでいる姿を見ると、つい安心してしまいがちです。
ですが、

  • 「内容を理解しているか?」

  • 「登場人物の気持ちを想像できているか?」

といった視点から見守ることが大切です。

読書の本質は、語彙の暗記ではなく、“言葉を通して考える力”を育てること。
この目的を見失うと、読書量のわりに学力の伸びが感じられない…という結果になりがちです。

正しい読み方を知れば、読書は最強の学習ツールに

Sakura国語のワークショップでは、「何を読むか」と同じくらい「どう読むか」を大切にしています。

  • 登場人物の視点を整理する力

  • 場面の変化を読み取る力

  • 行間を読む力

こうした“深く読む力”を育てながら、読書を楽しく習慣化することで、海外でも日本語力は確実に伸ばすことができます。

「読む力」を育てたい方へ

本を読んでいるのに、なぜか国語の成績が伸びない。
そんな悩みの背景には、「読書の質」の問題が隠れているかもしれません。

まずは、お子さまの読書力を客観的に見直してみませんか?

まずは無料体験から
Sakura国語の教室で日本語力を伸ばそう

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読書とディベートで育てる「ロジカルシンキング」:海外で育つ子に必要な言語的思考力

2025.07.24

読書とディベートで育てる「ロジカルシンキング」:海外で育つ子に必要な言語的思考力

海外に暮らす子どもたちは、英語や現地語といった多言語環境に適応しながら生活しています。しかし、そのような環境においても「日本語で論理的に考え、表現する力」――すなわちロジカルシンキングを育てることは、思考力全体の発達において非常に重要です。 なぜ今、「日本語でのロジカルシンキング」が必要なのか 母語で思考する力は、他言語への応用にもつながる“認知の土台”です。海外では、英語やオランダ語などの現地語の能力ばかりが注目されがちですが、日本語で論理的に考える力を育てることは、子どもの思考をより深く、広く支えるうえで欠かせません。 Sakura国語のワークショップのアプローチ Sakura国語のワークショップでは、子どもたちのロジカルシンキングを育てるために、2つの柱を設けています。 読書を通した国語力クラス:語彙力・読解力を高めるインプットの場 ディベートクラス:論理的に意見を組み立て、発信するアウトプットの場 この「インプット→アウトプット」のサイクルにより、単に知識を蓄えるだけではなく、それを思考に転換し、自分の言葉で伝える力へと昇華していきます。 読書で育つロジカルな読解力 読解力は、文章を読むスピードやテストの正答率だけでは測れません。重要なのは、「誰が・何を・なぜ・どうしたのか」という構造を理解し、因果関係を捉える力。Sakuraの読書クラスでは、物語や説明文を通じてこのような論理的読解を日常的にトレーニングしています。 ディベートで磨く論理表現力 語彙や読解力をもとに、ディベートクラスではPREP法(主張→理由→具体例→再主張)を軸にした論述トレーニングを実施。さらに、 接続詞を用いた論理のつなぎ方 主観と客観の切り分け 具体と抽象の往復思考 など、実践的なロジカルスキルを強化します。こうした訓練は、将来的なプレゼンテーション、エッセイ、さらにはビジネススキルの土台ともなります。 ロジカルシンキングはすべての学びの根幹 算数の文章題も、理科の観察記録も、社会の因果比較も、すべては読解力とロジックの上に成り立っています。だからこそ、国語の枠を超えて、すべての学びに影響を与える「読む→考える→伝える」の一貫したスキルが重要なのです。 未来につながる言葉の力を 私たちは「読む力」を磨き、「考える力」を育み、「伝える力」へとつなげていきます。 海外にいても、日本語を通してロジカルシンキングを身につけることは可能です。 Sakura国語のワークショップは、その実践の場として、子どもたち一人ひとりの思考の成長を支えています。

バイリンガルを育てる読書の力:日本語の読解が与える多言語発達への影響

2025.07.20

バイリンガルを育てる読書の力:日本語の読解が与える多言語発達への影響

バイリンガルに育つということは、単に二つの言語を「話せる」ようになることではありません。言語の運用能力には、語彙や文法の知識だけでなく、情報を整理し、理解し、考えを構築する思考力が深く関わっています。とりわけ、母語である日本語での深い読解力や表現力は、バイリンガルの基礎として非常に重要です。 海外に住む子どもたちは“自然に”バイリンガルになるのか? 多くの保護者が抱くのは、「現地語も日本語も使っているから、自然とバイリンガルになるだろう」という期待です。しかし実際には、母語である日本語の語彙や文法が十分に育っていない状態で現地語の教育を受けることで、どちらの言語も“浅く広く”なってしまうケースが少なくありません。これを防ぐには、一つの言語で深く考える経験が欠かせません。 読書が育てる「思考と言語の橋渡し」 言語学においては、語彙の獲得や論理的表現の習得には「読む」経験が大きく関わることが知られています。特に、物語文や説明文を通して登場人物の心情を読み取ったり、因果関係を整理したりする読解は、思考の筋道をつける訓練そのものです。こうした日本語での読書経験は、英語や現地語といった他の言語における理解力にも好影響を与えると、多くの研究が示しています。 語彙の“質”がことばの発達を左右する バイリンガル教育の現場では、子どもがどのような語彙をどれだけ蓄えているかが、その言語でどれだけ深く考えられるかを左右します。日常会話レベルの言葉(BICS)だけでなく、学校の学習に必要な認知的・学術的言語能力(CALP)を育てるには、意識的な語彙のインプットが不可欠です。そのためにも、日本語での読書は非常に有効です。 バイリンガル教育における日本語の役割 母語がしっかりしていれば、第二言語、第三言語への移行もスムーズになる。これは言語習得に関する基本原則の一つです。日本語の文章を読む中で、文の構造や論理展開に触れることは、他言語のリーディングにも通じる普遍的な思考力を育てます。言い換えれば、日本語での深い読書体験が、真のバイリンガルを育てる足場となるのです。 家庭と教室で支える「読む習慣」 海外に住む日本人家庭において、日本語での読書環境を整えるのは簡単ではありません。だからこそ、Sakura国語のワークショップでは、教室での読書指導と家庭での継続読書を組み合わせることで、お子さまの“読む力”を継続的に支えています。 読書から始める、本質的なバイリンガル教育 「読む→考える→伝える」このプロセスの根幹には、読解力があります。そして、それを育てるもっとも自然で効果的な手段が「読書」です。海外で育つからこそ、日本語という軸足をしっかりと持ち、多言語に展開していく子どもたちを支援すること。Sakura国語のワークショップは、本質的なバイリンガル教育の場として、子どもたちの未来に貢献していきます。